歴史

ヘッドとホームズは1911年、大脳皮質損傷例の感覚障害を記述するなかで、この概念を導入した。患者が失っているのは個々の感覚ではなく、感覚を照合するための基準であるように見えた。彼らはこの基準を postural schema と呼んだ。

決定的だったのは、この図式が可塑的だという指摘である。ヘッドは、女性の帽子の羽根飾りが、その先端が何に触れたかを感じ取れるほどに身体図式へ組み込まれる例を挙げた。

メルロ=ポンティは『知覚の現象学』でこれを引き受け、身体図式を単なる姿勢の地図ではなく、世界への構えとして捉え直した。杖に慣れた盲人にとって、触覚の場所は杖の先端に移動している。

身体イメージとの区別

しばしば混同されるが、両者は水準が異なる。

  • 身体図式(body schema):意識的なモニタリングを伴わずに作動する感覚運動的な系。姿勢制御や到達運動を支える。
  • 身体イメージ(body image):身体についての知覚・態度・信念の系。自分の身体がどう見えるか、どう感じられるか、どう評価されるか。

この区別を精緻化したのはショーン・ギャラガーである。摂食障害における身体像の歪みは body image の問題であり、失行や到達運動の障害は body schema の問題である——両者を混ぜると臨床的にも理論的にも混乱する。

現代研究

道具使用の前後で身体近傍空間(peripersonal space)の表現が変化することは、サルの頭頂葉ニューロン記録やヒトの行動実験で報告されている。義肢の適応、遠隔操作、仮想身体を用いた実験は、身体図式の可塑性を実験的に操作する道具になっている。

ただし「身体図式」が単一の神経表現に対応するのか、複数の機能の総称なのかについては、なお議論がある。