身体について何を考えたか

シェリントンは受容器を三つに分類した。外受容器(exteroceptor)は外界からの刺激を受ける。内受容器(interoceptor)は内臓の状態を受け取る。そして固有受容器(proprioceptor)は、筋・腱・関節・内耳に分布し、身体自身の位置・運動・張力を伝える。

この三分割の意義は、身体が自分自身についての感覚器官を持っていると明言した点にある。私たちは目を閉じていても自分の手がどこにあるかを知っている。この「知っている」は推論ではなく感覚である。

『神経系の統合作用』のもう一つの主題は、反射の統合である。個々の反射は独立して働くのではなく、相互に抑制し合い、最終共通路である運動ニューロンをめぐって競合する。シェリントンはここに、神経系が単なる伝達装置ではなく統合装置であることを見た。

なぜ重要なのか

固有受容感覚の発見によって、「身体を感じる身体」が科学の対象になった。この概念がなければ、身体図式論も、身体所有感の実験も、運動制御論も成立しない。

同時に、彼が導入した interoception(内受容)という語は、当初は内臓感覚全般を指す解剖学的分類だったが、20世紀末以降、感情と自己意識の基盤を問う概念として再び中心に躍り出ることになる。

現代との接続

固有受容感覚の欠損例——たとえば大径線維ニューロパチーによって固有受容を失った患者の症例——は、いかに私たちの日常的な運動がこの感覚に依存しているかを劇的に示した。ラバーハンド錯覚以降の身体所有感研究は、視覚・触覚・固有受容の統合が自己の身体の感覚をどう作るかを扱っている。

なお臨床的には、固有受容感覚のトレーニングはバランス訓練や再受傷予防の根拠として広く用いられている。ただし「固有受容トレーニング」として括られる介入の内実は多様であり、何が効いているのかについては議論が続いている。