歴史
シェリントンは1906年、受容器を三つに分類した。外受容器(外界)、内受容器(内臓)、そして固有受容器(身体自身)である。この分類によって、「身体が自分自身を感じる」という当たり前が、初めて科学の対象になった。
科学での意味
主な受容器は、筋紡錘(筋の長さと変化速度)、ゴルジ腱器官(張力)、関節受容器、そして皮膚の伸張受容器である。これらの信号は、脊髄反射のレベルで運動を調節すると同時に、上行して大脳皮質に至り、身体の位置についての意識的な感覚を生む。
固有受容感覚が失われるとどうなるかは、大径線維ニューロパチーの症例が劇的に示している。筋力は保たれているのに、視覚で自分の身体を監視し続けなければ立つことも歩くこともできなくなる。日常的な運動がいかにこの感覚に依存しているかが分かる。
哲学での意味
固有受容感覚は、身体が単なる物体ではないことの生理学的な証拠でもある。石は自分の形を感じない。身体は自分自身についての感覚器官を持っている。フッサールの二重感覚の分析や、メルロ=ポンティの身体図式論は、この事実の現象学的な記述として読むことができる。
実務における注意
臨床では、バランス訓練や再受傷予防の根拠として「固有受容トレーニング」が広く用いられる。効果自体は多くの研究で報告されているが、そこで実際に変化しているのが受容器の感度なのか、運動制御の戦略なのか、恐怖回避行動なのかは、介入の中身によって異なる。用語をそのまま機序の説明として使わないほうがよい。