身体論としての読みどころ

西洋で生まれた「mind-body problem」を人類普遍の問題として扱うことへの、根本的な留保である。そもそも心と身体を二つの独立した存在として立てない思想があるなら、問題の形自体が違ってくる。

英訳を通じて海外の身体論・比較哲学にも一定の影響を与えた。ただし湯浅は、この違いを「東洋は優れている」という主張には使わない。求めたのは、修行という実践知を現代の哲学と科学が扱える言葉に翻訳することだった。

身体論として重要な箇所

  • 西洋哲学が心身関係を「事実についての問い」として立てるのに対し、東洋の伝統では統一が「到達される状態」であるという対比。
  • 和辻・西田の身体観、道元の「身心脱落」、空海の三密、芸道論の分析。

日本語訳

  • 身体論——東洋的心身論と現代 / 講談社学術文庫(『身体——東洋的心身論の試み』(創文社、1977)の文庫版)