身体論としての読みどころ
わずか十数ページの論文だが、身体と感情の関係についての議論の起点であり続けている。カール・ランゲが同時期に類似の説を提出したため、ジェームズ=ランゲ説と呼ばれる。
キャノンの批判(内臓反応は感情の分化を説明するには遅く、粗すぎる)を受けて一度後退したが、ダマシオと内受容感覚研究によって形を変えて復活した。ただし「身体が感情に関与している」ことと「身体変化の知覚こそが感情である」ことは同じではない。この違いに注意して読みたい。
身体論として重要な箇所
- 身体変化の知覚を差し引いたら、感情には何も残らない——「純粋な恐怖」を想像せよという思考実験。
- 常識的な順序(知覚→感情→身体反応)を、知覚→身体反応→感情へと逆転させる主張。