身体論としての読みどころ
『パイドン』は魂の不死を論じる対話篇だが、その議論の前提として身体観が語られる。身体は感覚と欲望を通じて思考を乱し、真の認識を妨げる。だから哲学者は、生きているあいだから魂を身体から引き離す訓練をする。
この構図が、西洋における「身体の貶価」の原型となった。現代の身体化認知や現象学は、多かれ少なかれこの構図の反転として自己を規定している。批判の相手を正確に知るために読む価値がある。
身体論として重要な箇所
- 哲学とは「死の練習」であるとする議論(64a–67e)。魂が身体から離れることを訓練するという発想が示される。
- 身体は認識の妨げであり、感覚を通じては真理に達しないとする主張。
読むべき章
- 冒頭から魂の浄化を論じる部分(57a–69e)が身体論として最も重要。
日本語訳
- パイドン——魂について / 岩波文庫ほか複数の邦訳あり