身体論としての読みどころ
論証の核心は解剖でも顕微鏡でもなく、計算にある。身体の一部が量的な関係として記述され、実験的に検証された。ここで身体は、目的や体液の均衡ではなく、部分の運動と因果連関から説明されうる機構として現れる。
デカルトはこの成果を『方法序説』第5部で紹介している。ただし心臓の拍動の原因については、心臓の熱による血液の膨張という説を採り、心筋の収縮を主張するハーヴェイと最後まで対立した。
身体論として重要な箇所
- 一回拍出量と脈拍数から、心臓が1時間に送り出す血液量を計算する箇所。この量が摂取した食物から作られうる量をはるかに超えることが循環の論拠となる。
- 腕を縛って静脈の弁を観察し、血液が一方向にしか流れないことを示す実験。